マル島のトバモリー蒸溜所には、もうひとつの顔があります。それが、しっかりとピートを効かせて造られる「レダイグ」です。アイラ島のモルトほど知られてはいませんが、潮気と煙、そして意外なほどの甘さを併せ持つ個性派として、愛好家の間で根強い人気があります。今回は、日本で比較的手に入りやすい「レダイグ12年」について、オフィシャルボトルとの関係や、ノンピート版トバモリーとの違いも交えてご紹介します。
- レダイグはトバモリー蒸溜所が造るピーテッド・モルト。麦芽のフェノール値は30〜40ppm程度とされる
- 現在、蒸溜所オフィシャルの定番は10年と18年。12年はボトラーズ品が中心で、代表格はゴードン&マクファイル「ディスカバリー」
- ディスカバリー版は43%、バーボン樽とシェリー樽。潮気のある煙に、焼きりんごやトフィーの甘さ
- 実売は1万〜1万2,000円前後。ノンピートのトバモリー12年と飲み比べると蒸溜所の個性がよくわかる
レダイグ12年とは
レダイグ(Ledaig)は、スコットランド西岸のマル島にあるトバモリー蒸溜所で造られる、ピーテッドタイプのシングルモルトです。同じ蒸溜所ではピートをほとんど使わないトバモリー12年も造られており、レダイグはその「煙をまとったもう一人の兄弟」にあたります。
ここで押さえておきたいのが、レダイグの現行ラインナップです。2026年10月時点で、蒸溜所の公式サイトに掲載されている定番(コアレンジ)は「レダイグ10年」「レダイグ18年」「シンクレア・シリーズ(リオハ樽フィニッシュ)」で、いずれも46.3%。オフィシャルの定番品として「12年」は存在しません。過去には2020年にペドロ・ヒメネス樽で仕上げた12年が数量限定でリリースされましたが、こちらはすでに一般流通していない限定品です。
そのため、現在日本で「レダイグ12年」として広く販売されているのは、独立瓶詰業者(ボトラーズ)によるボトルが中心です。中でも定番的に流通しているのが、スコットランドの老舗ボトラー、ゴードン&マクファイル(G&M)による「ディスカバリー」シリーズのレダイグ12年。本記事では、このボトルを中心に解説します。
基本スペック
| 銘柄名 | レダイグ 12年 ディスカバリー(ゴードン&マクファイル) |
|---|---|
| 地域 | スコットランド・アイランズ(マル島) |
| 蒸溜所 | トバモリー蒸溜所 |
| 瓶詰業者 | ゴードン&マクファイル(ボトラーズ) |
| 熟成年数 | 12年 |
| 熟成樽 | バーボン樽・シェリー樽 |
| アルコール度数 | 43% |
| 容量 | 700ml |
| 種類 | シングルモルト(ピーテッド) |
ゴードン&マクファイルのディスカバリーは、2018年に始まったシリーズで、ウイスキーを「シェリー」「バーボン」「スモーキー」という味わいのタイプで分類しているのが特徴です。レダイグ12年は「スモーキー(Smoky with Peat)」に分類され、グレーを基調としたラベルが目印です。
レダイグという名前とトバモリー蒸溜所
トバモリー蒸溜所の創業は1798年。操業停止と再開を何度も繰り返した歴史を持ち、その途中には蒸溜所自体が「レダイグ」の名で操業していた時期もありました。現在のピーテッド銘柄の名前は、この旧名に由来しています。所有会社は南アフリカのディステル社(現在はハイネケン傘下)です。
蒸溜所の生産は、トバモリーとレダイグでおおよそ半々とされ、時期を区切って交互に仕込まれます。両者の最大の違いは麦芽で、トバモリーはフェノール値2ppm未満のほぼノンピート麦芽、レダイグは30〜40ppm程度のしっかりピートを焚いた麦芽を使うとされています。この数値は、アイラ島の重いピーテッドモルトにも迫る水準です。
スチルはウォッシュ、スピリット各2基。ラインアームが大きく曲がりくねった独特の形状で、還流を促す設計といわれます。ピートの強いレダイグでも、どこか果実味や甘さが顔を出すのは、こうした蒸溜設備の影響もあるのかもしれません。
トバモリー12年との違い
同じ蒸溜所、同じ水、同じスチルで造られながら、トバモリーとレダイグはまったく異なる表情を見せます。
- トバモリー12年:ノンピート。オレンジやりんごの果実味とバニラ、ほのかな塩気。軽やかで明るい印象。
- レダイグ12年:ピーテッド。潮風のような煙と薬品香、その奥にトフィーや焼きりんごの甘さ。力強く、余韻にスモークが残る。
「ピートの有無が味わいにどう影響するのか」を体感するには、この2本の飲み比べが最適です。同じ蒸溜所の兄弟だからこそ、違いが際立って感じられます。
なぜレダイグを知ってほしいか
スモーキーなスコッチといえば、ラフロイグやアードベッグ、ラガヴーリンといったアイラ島の銘柄がまず思い浮かぶでしょう。レダイグは、それらに劣らないピートの強さを持ちながら、アイラとは少し違う個性を見せます。煙の中に感じる甘さや果実味、ややオイリーで素朴な質感は、レダイグならではのものです。
アイラのモルトをひと通り試した方が「次の一本」として選ぶのにぴったりで、スモーキーなウイスキーの世界をもう一段広げてくれる存在だと思います。
テイスティングノート
立ち上がりはピートスモークと潮の香り。海藻やレモンのような爽やかさに、燻製肉のようなニュアンスが重なります。時間とともにトフィーや焼きりんごの甘い香りが顔を出します。
ペッパーのようなスパイスとスモークが広がり、続いて煮詰めた果実やチョコレート、トフィーの甘み。43%なので口当たりは比較的穏やかで、煙と甘さのバランスが取りやすい印象です。
中程度の長さ。灰のようなスモークとオークの風味が残り、最後に柑橘の爽やかさと塩気がふっと抜けていきます。
味わいのバランス
おすすめの飲み方
ストレート
まずはストレートで、煙と甘さの重なりを確かめてみてください。43%と飲みやすい度数なので、ピーテッドモルトに慣れていない方でも、少しずつ口に含めば香りの変化を楽しめます。
少量の加水
数滴の水を加えると、スモークが一歩引いて、トフィーや果実の甘みが前に出てきます。度数が43%なので、加水は控えめにするのがおすすめです。
ハイボール
スモーキーな香りは炭酸と相性が良く、レダイグもハイボールで楽しめます。ウイスキー1に対して炭酸3程度と、やや濃いめにすると煙と甘さがぼやけにくくなります。燻製料理や焼き魚との相性も抜群です。
飲み方の基本はウイスキーの飲み方でも詳しくご紹介しています。
価格と購入方法
ゴードン&マクファイル ディスカバリーのレダイグ12年は、2026年10月時点のネット通販で1万〜1万2,000円前後が中心です。ボトラーズ品のため、時期によっては在庫が少なくなることもあります。
より手頃にレダイグを試したい場合は、オフィシャルの定番である「レダイグ10年」(46.3%、バーボン樽熟成)も選択肢になります。こちらは実売5,000〜8,000円前後で流通しています。
こんな人におすすめ
- アイラ島のスモーキーなモルトが好きで、別の産地のピーテッドを試したい方
- 煙だけでなく、甘さや果実味とのバランスも楽しみたい方
- ノンピートのトバモリー12年と飲み比べて、ピートの影響を体感したい方
- オフィシャルとは違うボトラーズのウイスキーに触れてみたい方
反対に、スモーキーな香りや薬品のようなニュアンスが苦手な方には向きません。その場合は、同じ蒸溜所のノンピート版トバモリー12年から始めるのがおすすめです。
ふるさと納税でウイスキーを手に入れる
ふるさと納税の返礼品には、国内蒸溜所のウイスキーやお酒のセットを用意している自治体もあります。控除上限額の範囲内で寄付すれば、実質の自己負担2,000円で返礼品を受け取れます。
ウイスキーの返礼品を探すau PAY ふるさと納税で返礼品を探す※控除上限額は年収や家族構成などによって異なります。寄付の前にご自身の上限額をご確認ください。
まとめ
レダイグは、マル島のトバモリー蒸溜所が造るピーテッド・モルトです。潮気を帯びたスモークの奥に、トフィーや焼きりんごの甘さが隠れていて、アイラのモルトとはまた違う魅力があります。オフィシャルの定番は10年と18年ですが、ゴードン&マクファイルのディスカバリーなら12年熟成のレダイグを手に取ることができます。ノンピートのトバモリー12年と並べて飲めば、同じ蒸溜所が持つ二つの個性をより深く味わえるはずです。
※20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。飲酒運転は絶対にやめましょう。妊娠中・授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に悪影響を与えるおそれがあります。
※価格・仕様は2026年10月時点の情報です。最新の価格・在庫は各販売サイトでご確認ください。
※テイスティングノートは個人の感想です。


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